2016年2月8日月曜日

2015年未読アンケート特集

 人文書の老舗・みすず書房さんから月刊で『みすず』というPR誌が発行されているが、この1・2月合併号は毎年、百数十名の各界の専門家らに「昨年読んだ本のなかで印象に残った本を5冊以内で挙げてください」というアンケート特集を組んでいる。
 そしてつい先日、2016年1・2月号が発刊されたのだが、私のところには何のアンケートも届かなかった。
 なので私は一人でアンケートに答えようと思う。ただしみすずと同じ内容のアンケではありきたりなので、「2015年に買ったはいいけど読めなかった本」のうちで、とくに悔しさが強いものを挙げてみた。「2015年に買った本」であって「2015年に出た本」ではない。数字も順位じゃないよ。


1 高橋智=著『書誌学のすすめ――中国の愛書文化に学ぶ』(東方書店、2010年)
 学生のとき、書誌学のテキストとして陳国慶『漢籍版本入門』(沢谷昭次訳、研文出版、1984年)というのを買わされたのだが、正直それほど興味をそそられなかったため、授業で読む以外にはまったく開かなかった。
 しかし授業のときに何気なく先生がぼそっと、「書誌学の重要さはオレもあとで気づいたんだ・・・」とつぶやいたのをまだよく覚えている。
 ちょうど私もそれを最近感じていて、ちゃんとまじめに学んでいればよかったとつくづく思っている。
 版本関係の用語とかでわからなくなったら上記の『漢籍版本入門』によくお世話になっているのだが、しかしこの本、良書なのは確かなのだが、あまりにもテキストすぎるというか、用語集チックなところがあるというか、味気ない?(と言ったらたいへん失礼だが!)感じがしてしまって、通読しようという気がなかなか起きない。
 そんなときに書店の棚で見つけたのが本書だったというわけ。中をちらっと読んでみたら、わりと読みやすく説いてくれているみたいだったので、楽しんで読めそうかなと思い購入した。
 が、読めなかった。
 必要だから買ったのは間違いないのだが、いま私が書誌学に抱いている関心は純学術的好奇心であるというよりも、たんに技術的・知識的な不足を補おうとする欲求にもとづいている。なので、テクニカルに相当まずい問題が私に生じないかぎり、急いでこれを読んじまおうってならない(みたいだ)。
 不足している知識はさっさと補っておくに越したことはないのに、ちょっとですよ、ちょっとあとでもいいかと思って脇に置いておいたら、そのうちにいまは別に平気だし緊急で読む必要はないかなー、と先延ばしてしまったのがこの有様ですよ。


2 今野真二=著『常用漢字の歴史――教育、国家、日本語』(中公新書、2015年)
 字体の歴史とかにも興味があってですね・・・。
 しかし、まったくの専門外であるため、どういう本から読むとよいのだろうとかそういうあたりのことがあんまりよくわからない。
 そんなときにちょうど本書が発売されたので、幸いとばかりにすぐ購入した。
 が、積んだままでした。
 なんというか、この本自体に原因があって開かなかったのではなく、どうしてか私は新書というスタイルに親しみをもてないのです。あんまり読む気が起きない。
 そんな自分の癖を知っているので、新書はむやみに買わないようにしているのだが、テーマを絞って買ってみたところでやっぱり新書は後回しにしてしまう。新書を読むなら積んでいる文庫を優先させてしまう。
 軽くサクッと読めるはずだからさっさと消化できるはずなのだけれど・・・。


3 入不二基義=著『あるようにあり、なるようになる――運命論の運命』(講談社、2015年)
 こういうテーマがここ数年大好き。だからすぐ買っちゃった。でも時間取れなくて・・・。
 また山本芳久『トマス・アクィナス――肯定の哲学』(慶應義塾大学出版会、2014年)はまだ買えていない本だが、上記とあわせて読んでみたいなと思っている。


※番外(そもそもまだ買っていない本)
4 ティモシー・スナイダー=著『ブラッドランド――ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』(上・下巻、布施由紀子=訳、筑摩書房、2015年)
 地味にすごくよく売れている本じゃないですか、これ。発売から数ヶ月しても新刊台に平積みされているし。アマゾンレビューや『みすず』アンケートでの評価も良好。
 なので買いたいと思いつつも、上下巻で7000円くらいはきついな、でもまあいつでも買えるだろうし、余裕ができたら買おう、としているうちに・・・上巻だけアマゾンで在庫切れになってしまった。入荷予定もなさそう? 表示がない。
 書店でもあらためて探してみると、下巻すら置いていない。ある書店での検索機では、下巻が僅少、上巻が在庫なしだった。上巻が切れてしまったので下巻も店頭から下げてしまったみたいだ。
 ということは、上巻の初刷?がすべて売れてしまって、版元が上巻を出荷できない状態にあるようだ(版元HPで「在庫×」になっている)。
 さすがに増刷するだろうと思っているのだが、本当にしてくれるのだろうか。なにしろ不景気といわれている業界だから、初版がすべてさばけたらそれで良し!としないともかぎらない。
 ああ、さっさと買っておけばよかった、と思わずにはいられない。という意味で悔いが残る。
 歴史家の著書の翻訳ということで、ほかにやはり財布と相談して買えないでいるのがマーク・マゾワー。昨年は『国際協調の先駆者たち』(NTT出版)、『国連と帝国』(慶應義塾大学出版会)、『暗黒の大陸』(未來社)が刊行されたが・・・『ブラッドランド』ほど速い動きはしていなさそうなんで、マゾワーはあとでも平気そうかなということで保留中。


5 余嘉錫=著『古書通例――中国文献学入門』(古勝隆一・嘉瀬達男・内山直樹=訳、平凡社・東洋文庫、2008年)
 余嘉錫の翻訳があることを去年はじめて知った。すごいねえ。
 でも東洋文庫って・・・いやらしく高くない? 即決で買えないのだけど。サイズと値段が見合ってない気がしちゃうお・・・。ばいにーだお・・・。


 ここに挙がっていたり言及していたりするもので、今年いったいどれだけ消化できるだろう。
 来年のこの時期が恐ろしい楽しみですね!



 

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